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縁起のよさも消費意欲を刺激!?

かつお、さば、ぎん限定「金華ブランド」

焼けばジュワッとうまみが染み出す金華さば

 日本各地に、地元で愛され続けてきた味がある。中には地域を飛び出し、全国にその名をとどろかせるものもある。讃岐うどん、大間のまぐろ、博多辛子明太子、鹿児島黒豚etc. いわゆる産地ブランドというやつだ。

 ただ今売り出し中の産地ブランドのひとつが「金華(きんか)ブランド」である。これは、宮城県石巻市の太平洋上に浮かぶ小さな島「金華山」周辺で獲れた魚の冠。といってもすべての魚に許されるわけではなく、かつお、さば、ぎん(銀鮭)のみが対象となる。このあたりは親潮と黒潮がぶつかり合う、 日本有数の良質な漁場。秋が旬のさばに関して「金華ものブランド化事業推進委員会」が定義したところによると、この海で巻き網、定置網、一本釣りで獲れた真さばを対象に、1匹500グラム以上、脂質15%以上を目安に厳選されたものだけが「金華さば」と呼ばれる。その量、石巻魚市場のさばのわずか5〜10%程度。ブランドにふさわしい貴重品なのである。

 その「金華さば」を手軽に食べられる品を見つけた。頭を落として3枚に開き、骨を避けながら切り分け塩分約2%の甘塩味に仕上げているのだが、ポイントはスティック状にカットしていること。食べやすい上に、食べたい時に食べたい分だけ取り出して焼くことができるというのが利点だ。もちろん、焼くとじんわりとにじみ出るほど脂がのっているのに後味はすっきりという「金華さば」ならではの醍醐味は存分に堪能できる。

 ところで、産地ブランドとして支持を集める条件とはなんだろう。その地ならではの気候にはぐくまれている、地域の人々に親しまれてきたというのが基本なのだろうが、その産地のイメージというのも重要なのではないだろうか。歴史的な由来があるとか、縁起がよいとか、名前が美しいとか、そういう産地の方が、消費意欲が高まるような気がする。

 その点でも、「金華ブランド」はツボを押さえていると言えるだろう。「金」も「華」もめでたい雰囲気だし、事実、金華山には黄金山神社があり、島全体がその神域となっている。品質はもちろん、名前の美しさ、縁起のよさも申し分なし。そんな産地のものなら、ぜひ食べてみたいと思いません?(ライター/棚田みよ子)

参考文献
『平凡社 大百科事典』平凡社
『話のさかな◎コラムで読む◎三陸さかな歳時記』高成田享と三陸おさかな探検隊(著)、荒蝦夷(発行)
『三陸海岸 旬の魚と料理図鑑』河北新報出版センター

おすすめ!
脂がのったスティック状の金華さばを堪能
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2011年11月14日  読売新聞)
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