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太い果実味と繊細さ

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ウッドカッターズ・シラーズ 2005

 新世界ワインが旧世界(欧州)に劣るというのは過去の話。米国や南半球で、本場に負けないワインが生まれている。フランスのブドウ農家の息子が、カリフォルニアに留学する時代だ。栽培や醸造の技術は世界に拡散している。

 近年の注目はオーストラリア。トルブレックは南オーストラリア州で仏ローヌ系品種を手がける。10年で世界のトップに躍り出た。当主デイヴィッド・パウエルさんは、25年間も欧州や米国で修業し、故郷アデレードに近いバロッサバレーに戻ってきた。

 お買い得な赤「ウッドカッターズ」は、スコットランドの木こり経験から名づけた。濃いエキスと太い果実味。新世界ワインにありがちなジャムやコーヒーの風味とは一線を画し、繊細さがある。体の温まるこってりした肉料理と合わせたい。ハンバーグ、すき焼き……スクリューキャップだから、残しても安心。1週間は保つ力がある。

 地中海性気候に適したシラーズ種の樹齢は10年。冬に厳しくせん定し、樹になるブドウの房を減らす。「人間と同じで、若い樹は強さがあっても知恵がない。収量は減るが、人生は金もうけだけではないから」とデイヴィッド。

 ワイン同様の大柄な男だが、仕事は細やか。「地球から畑を借りたつもりで農作業している」と。似たような言葉を何度もフランスで聞いた。国は違っても、優れた造り手の哲学は変わらない。

(ワインジャーナリスト=YOMIURI PC副編集長)

この一本

ウッドカッターズ・シラーズ 2005トルブレック(豪)

 普及品から上級品まで外れがない。グルナッシュ種の赤も秀逸。力と優雅さという新旧世界の長所を兼ね備えたワインを造る。

実勢価格 2500円前後
ミレジム(03・3233・3801)

2007年2月26日  読売新聞)
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