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若返り効果、“吟味”も大事

 アンチエージング(抗加齢、抗老化)がテーマのレストランが東京・麻布十番にオープンしたのは4月だった。

 「アイルランド産天然極上サーモン」や「茨城・水戸の谷津さんの育てた最上アスパラガス」など、こだわりの食材や油脂を抑えた調理法に感心した。

 で、今度は東京・新宿のホテルが、館内の全レストランでアンチエージングの特別メニューを出すフェアを始めた。アカエイのテリーヌ(コラーゲン効果)、黒ゴマ風味のパンプキンスープ(抗酸化効果)、黒豚ロースの“揚げない”カツレツ丼(疲労回復)など、9月限定で和洋中の各店がオリジナルを競う。フレッシュトマトと黒酢のブラッディーマリー(リコピン効果)のカクテルもある。

 「食後のお茶もコラーゲンの吸収を促すローズヒップです」とホテル側も自信満々。さすがに“若返り”は十分商売になる。

 一方、日本の長寿を支えてきたのは伝統的郷土食という考えもある。25か国60地域で食と健康の関係を調査したWHO循環器疾患専門委員の家森幸男さんは、理想的な食の一例として会津の伝統食を挙げる。

 例えば湿らせた大豆を木槌(づち)で延ばして乾燥させた打ち豆、豆腐を藁苞(わらづと)に入れて煮るつと豆腐、納豆に糀(こうじ)を合わせて再発酵させた納豆ひしょ。冒頭のアンチエージングメニューに比べるとどうも地味だ。

 「でも大豆の保存食、発酵食は話題のイソフラボンがたっぷりあって理想的な食材。こうした日本の食文化を世界に発信することこそ大事です」と家森さんは強調する。

 長生きと若返り。やや次元が違うし、どっちがいい悪いという話でもないが、横文字の響きや見てくれの華やかさに乗せられがちな我が身は省みるべきかも。(宇佐美伸)

2005年9月5日  読売新聞)
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