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ドッグフードも高齢化対応

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林家たい平/画

 安全、安心な国産の食材を厳選し、注文を受けてからその都度作る。と聞くと何の料理? と思うが、ドッグフードのお話。

 大手製粉グループがプレミアムをうたった商品を開発、その発表会をのぞいたのだが、残飯=犬のごちそうという考えは、とっくに時代遅れらしい。

 何しろ〈1〉購入前に愛犬の体格や健康状態をデータ登録〈2〉年齢や肥満度、肉中心・野菜中心の別、粒の大小など商品タイプは24種類〈3〉体格に応じた注文量――などが確定して初めて工場生産に入るという。

 「鶏ササミは九州産、小麦も大豆も国産で無香料・無着色、保存料も使いません。クロレラやえごま油、乳酸菌などもタイプに応じて加えます」とは、社長の増井隆夫さんだ。

 国内の犬の飼育数は2005年が1300万匹。3年続けて過去最高を更新中だ。平均寿命は12歳近く。10年前より3歳程度上がった。犬は7歳以上がシニア世代で、「高齢化に対応したドッグフード需要が高まっている」(増井さん)のは、人と同じようだ。

 発表会には愛犬家代表としてエッセイストの玉村豊男さん、銅版画家の山本容子さんの姿も。「犬との暮らしはもう23年続いて、犬に愚痴をこぼせるから夫婦円満でいられる」。そう玉村さんが明かせば、山本さんは「最近亡くした愛犬は腰が弱り、視力が落ち、認知性気味になっても壁づたいに真っすぐ歩く努力をやめなかった。老後の生き方を学びました」。

 ダイエット用もある今回のプレミアムフード。「多少割高でもいいものを食べさせる。そういうニーズがある時代になった」(玉村さん)ことには、様々な見方があるだろう。でも、2人に共通する犬への深い愛情は、素直に心に響いた。(宇佐美伸)

2006年2月26日  読売新聞)
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