新聞に親しみ考える力を
大島十二愛(おおしま・そにあ)さん 34
昔の子ども新聞を研究する、共立女子大学専任講師
1906年創刊の週刊子ども新聞に関する研究が評価され、青少年文化の向上に貢献した人に贈られる久留島武彦文化賞の個人賞を受賞。
22日の贈呈式を前に、「子どもの頃から新聞に親しんできたのでうれしい」と話します。
受賞した論文で取り上げたのは、1891〜1940年に東京で発行された中央新聞の記者だった久留島武彦(1874〜1960)が手がけた別刷りの子ども新聞『ホーム』。科学や海外に関する記事、偉人伝や子どもの美談の紹介、投稿欄などがありました。
現代の子ども新聞のようにイラストを多用し、難しい漢字にルビをふっています。「当時、新聞は大人向けのメディアで、家長が家族に読み聞かせることも多かったそうです。識字率の向上を背景に、子どもが自分で読める新聞を創設した意義は大きいと思います」
新聞研究の道へ進んだきっかけの一つが、小5の時に読売新聞の作文コンテストで受賞したこと。闘病しながら地域の防災活動に尽力した祖父の姿を描いた作文が掲載され、全国の読者からたくさんの手紙が寄せられたといいます。
「新聞が人と人とをつなぐ媒体になることを実感しました。新聞を読まない学生たちにも、魅力を伝えていきたいと思います」
新聞を授業で活用することを勧める小学校の新学習指導要領が全面実施されたことを受け、今年は子ども新聞の創刊が相次ぎました。「様々な子ども新聞がありますが、どれもわかりやすさが重視され過ぎているような気がします。ちょっと難しい内容も織り交ぜれば、親に『どういう意味?』と聞いて会話のきっかけになります。親子の会話を通して、考える力が身に着くといいですね」(郷)
(2011年11月15日 読売新聞)