ロンドン 際立つ演出
先月22日に閉幕した2012ー13年秋冬ロンドンコレクション。ブランドの持ち味やイメージを際立たせる工夫を凝らした演出が印象に残った。
今回初めてショー形式で服を披露したMcQアレキサンダー・マックイーンは、会場内に枯れ葉を敷き詰め、晩秋の雰囲気を演出した。カーキのコートやドレスが、枯れ葉の色彩になじんで美しい。
ヴィヴィアン・ウエストウッド・レッドレーベルは、気候変動が及ぼす影響によって土地を追われた人たちを支援するTシャツを製作した。ショーの最後にデザイナー自らが着て登場し、活動をアピールした。
ショー会場に入った客が一瞬驚いた表情を見せたのは、マルベリー。舞台両側にユーモラスな毛むくじゃらの化け物が立っている。アメリカの有名な絵本作家モーリス・センダックの代表作「かいじゅうたちのいるところ」から着想したという。フード付きのパーカやリバーシブルのキルティングのコートは、大きめのサイズで特色を強調した。
バーバリー・プローサムは、最後に紙吹雪を舞わせた。その中をモデルたちが色とりどりの傘を差して歩いていくというドラマチックな演出だ。
展示会も面白い。バッグのブランドのアニヤ・ハインドマーチは、バッグが主役のミュージカル風の演出で新商品を見せた。劇場のような会場で、音楽に合わせてトートバッグやクラッチバッグがベルトコンベヤーに乗って登場。クラッチバッグは歌っているように口を開けたり閉じたり。持っていることで楽しくなれるバッグを作り続けるデザイナーならではの表現だ。
欧州では景気が落ち込み、ショーや展示会が地味になる一方。そんな中で演出に工夫をこらしたショーや展示会が、ファッションの楽しさや大切さを気付かせてくれる。(編集委員 宮智泉、中嶋基樹撮影)
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