食材 冷凍前に小分け、味付け
魚の水分減らし うまみ凝縮
野菜は塩ゆで後 ピューレに
食材を無駄なく使いたい時、便利な冷凍保存。しかし、解凍の際に余分な水分が出たり、食感が悪くなったり失敗も多い。活用のポイントを、料理研究家の平山由香さんに教えてもらった。(岡本久美子)
「まず、調理する際の使いやすさを考えておくことです」と平山さん。必要な分量だけ使えるよう小分けにし、加熱や味付けなどの処理をしてから凍らせる。使用時は、冷蔵庫で自然に解凍させるのが基本だが、時間がない場合は、流水で戻す方法もある。
刺し身など生食用の魚の冷凍は、水分が多いままだと凍結時に細胞が壊れてしまうので、余分な水分を抜き、うまみを凝縮するのがコツ。塩分の濃い液体に漬けることによって食材から水分が抜ける「浸透圧」の作用を利用する。
マグロの赤身は食べやすい厚さに切り、しょうゆと日本酒を2対1の割合で混ぜた液体に約10分間漬ける。白身魚ならしょうゆの代わりに濃度3%の塩水を使う。乾燥した昆布の上に魚を並べ、その上を昆布で覆う。ラップで包んで密封できる袋に入れ、金属製バットに載せて冷凍。「これで、ドリップ(液汁)や臭みも出にくくなります」
解凍後に加熱する魚や肉は、厚みをそろえて塩をふり、みそ漬けやオリーブオイルでマリネにしておくとドリップや変色を防げる。ひき肉は火を通し、味付けを済ませておくと、調理の際に便利だ。
野菜は冷凍すると、食感が失われてしまいがち。「ニンジンやカボチャなどは、ピューレにしてから冷凍しましょう」。塩ゆでし、フードプロセッサーなどで細かくすりつぶす。冷ましてから袋に入れ、金属製バットを使い、薄く平らな状態で凍らせる。
鶏肉や野菜をゆでて作ったスープストックと合わせると、簡単に一皿ができる。
<ニンジン200グラムのピューレにスープストック、牛乳各120ccを加えて鍋で加熱。塩で味を調える>
素材の形のまま冷凍するなら、春が旬のエンドウマメがよい。「豆のゆで汁はうまみがあって料理に使えます。汁ごと冷凍する分と、豆だけ冷凍する分とに分けましょう」。うまみが薄まらないよう、ゆでる際の塩水の量は濃度1%で豆にかぶるくらいに。色よく、早く冷ますため、鍋からボウルに移して氷水で冷やし、それぞれ袋詰めにする。
ゆで汁ごと冷凍したエンドウマメを使ったスープの作り方も教えてもらった。
<ゆで汁と一緒のエンドウマメ250グラムを解凍、フードプロセッサーですりつぶす。アサリ12個に酒大さじ3杯を加えて加熱し、その際のゆで汁をエンドウマメのピューレに加えてさらに煮る。仕上げに加熱したアサリを入れ、刻んだアサツキを散らす>
豆のみを凍らせたものは色がきれいで、弁当に彩りを加える際などに重宝する。
冷凍が長期間になると、冷凍庫内のにおいが移ってしまう。「おいしく食べるなら冷凍は1週間程度に」と平山さんはアドバイスしている。
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