「高額入札金」で長期化交渉が長期化した理由の一つには、当初の予想をはるかに超える額に上った入札金が挙げられる。 レッドソックスは入札金約5111万ドル(約60億円)や年俸、契約金などを合わせて総額1億ドルを超す支出を強いられるが、代理人のボラス氏は入札金と選手の契約金はあくまでも別と考えてきた。ボラス氏は、やはり入札制度でイチローが移籍した際の契約を引き合いに出し、ポスティング移籍選手に対する評価の低さを問題視してきた。らつ腕といわれる代理人は「松坂は26歳と若く、フリーエージェントで彼のような力があれば、5、6年契約で総額1億ドルを手にすることも可能」と主張してきた。 だが、球団にとっては入札金も選手獲得予算の一部だ。レッドソックスは入札金と年俸総額を合わせて選手を評価し、「入札金と契約金を合わせると、メジャーで一度もプレーしたことのない選手の契約としては記録的なものになる。それが松坂への熱意の表れだ」とエプスタイン・ゼネラルマネジャー(GM)は力説してきた。GMだけでなくルキーノ社長もカリフォルニアまで出向き、松坂をボストンに招くためオーナーの自家用機も用意するなど、あらゆる形で誠意を示したが、金額面では限度があった。 米メディアの報道によれば、松坂との契約は最終的には6年総額5200万ドルで落ち着いたようで、松坂側がレッドソックスに歩み寄ったように見える。ただ、巨額の入札金がなければ、松坂はさらに高額年俸を手にしていたであろうし、交渉も、ここまで難航はしなかったのではないか。(ボストン 下村征太郎) (2006年12月15日 読売新聞)
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