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インタビュー

家族愛見つめ直す舞台…高橋由美子さん


 今度の舞台は、若年性アルツハイマー病を題材にしています。100歳近い私の祖母が認知症ということもあって、お芝居の最中、役の泣き所とは別に、つい自分自身の感情で涙が出そうになる場面があるんです。

 祖母は叔父夫婦と暮らしていますが、10年ほど前から、自分が産んだ私の父や叔父も誰だかわからないようです。私も年に数回会いに行きますが、「あぁどうも〜」と、まるで遠方から来た客に接するような感じなんです。子供の頃は、毎年夏休みに遊びに行っていたんですけどね。

 大事な人に自分が忘れられていくのは悲しいこと。私もさみしいですが、父は一層つらそうです。本人が忘れたくて忘れているわけではないだけに切ない。お芝居のセリフに、そんな父と祖母の姿を重ねてしまいます。

 仮に、自分が親に忘れられたとしても出来る限りのことはしたいと思います。実際そうなったら、そんな簡単ではないだろうとも思いますが……。父には「今度の舞台、見たら号泣すると思うよ」と話しました。私にとっても、人と人とのつながりや、大きな意味での愛などを見つめ直す機会になっています。(聞き手・高橋圭史、写真・里見研)


高橋由美子(たかはし・ゆみこ)さん

 女優、歌手。1974年生まれ。音楽劇「リタルダント」(東京公演は15〜31日、東京都渋谷区のPARCO劇場)に出演。

2011年7月5日  読売新聞)

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