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ノリで入った陸上部、マイペースで五輪の高みへ…女子20キロ競歩 大利久美(3)

 大利選手は自分自身をマイペースな性格と分析する。何か青春っぽいことをしたい、と始めた陸上の世界で競歩と出会い、コツコツと五輪の高みまで上り詰めた。高校、大学時代について聞いた。

◇    ◇    ◇

青春っぽいことをしたくて陸上に

大利久美選手。「競歩を始めたのは、技術がなくても始められる競技だったから」

 ―――陸上を始めたきっかけは?

 「中学校のときには部活に入っていませんでした。高校に進学して、仲良しの友人と『何か青春っぽいことをしたいよね。青春といえば?部活に入ってみようか』というノリになりました。友人が『入るならバスケットボール部か陸上部がいいな』と言えば、私のほうは『バドミントンか陸上がいい』ということで、共通項が陸上だったのでその勢いで陸上部に入りました」

 ―――もっと小さい頃はどんなスポーツを?

 「小学校1〜3年のころは週に1〜2度バドミントンをやっていました。プールも少し行ったことがありますが、そんなに得意ではありませんでした。それ以外、運動は特にやっていませんでした」

 ―――高校で中長距離を選んだ理由は?

 「技術がなくても始められる競技だったからです。全くの素人でもとりあえず長い距離は走れるので。まあ長い距離といってもそんなには長くはないですけど」

 ―――試合には?

 「高校で中長距離を走っているときには、学校代表として試合にも出られませんでした。人数はそう多くなかったのですが、中学校で何もやっていなかったこともあり、いきなり高校で選手に選ばれることはありませんでした」

 ―――競歩に出会ったのは?

 「ひとつ上の先輩で競歩をやっている方がいたんです。その先輩の走り方のマネを誰が一番うまいかやってみよう、ということになりました。すると、腕の振り方など私が一番上手だった。それでみんなにはやされて、『できるよ、できるよ』と。それで始めることになりました」

大舞台への近道はこれ!

大利久美選手。「周りは周りで、私は私。あまり流されないタイプだと思っています」

 ―――自分に向いていた?

 「レースに出てみたら、タイムもなかなか良かったんです! 『競歩だったら県大会にもいける。頑張れば関東大会も夢じゃないよ』と持ち上げられ、『大きな大会を目指すのに近道かな』と思い、熱が入ってきました。本格的に練習するうちにどんどん楽しくなりました」

 ―――高校3年では全国大会に出場?

 「そうですね。高校3年のときに、国体で2位になりました。国体で優勝できず、2番になってしまったというのがすごく悔しかった。全国大会で優勝したいと思ったので、大学(日本女子体育大学)で続けることを決意しました」

 ―――大学時代、ライバルの渕瀬選手は強かった

 「渕瀬選手に負け続ける日が続いたのはその頃から。よくて2位でした。どんなにがんばっても……。大学以外でトレーニングを積んでいたこともあり、大学ではあまり練習していませんでした。ただ、自分で言うのもなんですが、主将に指名されたのは、練習に対する姿勢と競技結果を考慮してもらったのだと思います。ひとつ上の学年の主将から指名されました」

 ―――自分の性格をどう思う?

 「どうですかね。割とマイペースな方だと思います。周りは周りで、私は私。あまり流されないタイプだと思っています」(インタビュアー・石井重聡、写真・高野一)

プロフィル
大利久美(おおとし・くみ)
 1985年7月生まれ。160センチ、45キロ。埼玉・西武学園文理高校から日本女子体育大学へ。2012年2月、日本選手権20キロ競歩に出場し1時間29分48秒で優勝。日本陸連の基準タイム(1時間29分59秒以内)を満たし、初の五輪代表に内定した。ロンドン五輪で女子20キロ競歩は、8月11日に開催される。

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 ◇ 富士通陸上部HP http://sports.jp.fujitsu.com/trackfield/

■競歩■

◇所定の距離(3000メートルから50キロ程度)をいかに速く歩くかを競う。ルールとして以下の2つがある。
(1)常にどちらかの足が地面についている(これに反すると「ロス・オブ・コンタクト」という反則)
(2)前の足が接地してから垂直の位置になるまで、ひざが伸びてまっすぐである(これに反すると「ベント・二ー」という反則)


◇上記2つのルールを守り、かつ速く歩くために、選手たちは正しい歩形、美しいフォームを追求し日々の練習に励んでいる。なお、コース上には、6〜9人(トラックレース6人・ロードレース9人)の審判員がいて、選手の歩きを確認する。ルール違反のおそれがあると、審判員からパドルというイエローカードが提示される。ルール違反だと警告(レッドカード)が出され、三つで失格となる。

2012年3月21日  読売新聞)

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