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「他人に勝つ前に己に勝て」胸に健闘誓う…女子20キロ競歩 大利久美(4)

 甘いものが大好き、という26歳。合宿のときは、スイーツ、フルーツをどっさり部屋に持ち込むという。「疲れを癒やし、心にも栄養を」と食べることに躊躇(ちゅうちょ)はない。そんな大利が大切にしている言葉、また競歩の魅力などを紹介する。

◇    ◇    ◇

審判員との駆け引きが魅力

大利久美選手。「審判員や他の選手との駆け引きが競歩の魅力です」

 ―――競歩の魅力は?

 「走るのとは違って、ただ速いだけでは勝てないというところです。速い中にもフォームの正確さが問われるスポーツですので、そういった中で審判員や他の選手との駆け引きも多い。そういうところが競歩の魅力かなと思います」

 ―――ファウルをもらったことは?

 「もともとあまりなかったです。注意も、警告もどちらもありませんでした」

 ―――最初からフォームがきれい?

 「そうですね。高校の時お手本にした一つ年上の先輩のフォームがとてもきれいだったのです。試合に出ていても、非常にきれいな歩形でとても目立つ選手でした。そういう人から教えてもらえたおかげもあると思いますが、昔から失格しにくい歩き方だったと思います」

 ―――練習や試合のない日は何を?

 「休みの日は、ほとんど寝ています。体を休めることに徹していますね。シーズンとしては、ちょこちょこレースに出ていますので、オフという感じはないです。まだまだオンの状態です」

スイーツ大好き「疲れを癒やし、心にも栄養を」

大利久美選手。「休みの日は、ほとんど寝ています」

 ―――甘いものが好きだとか?

 「はい!大好きです。スイーツにはまっています。自分で作ってちょっと試食したり、人に配ったり。もらうこともあるので、毎日食べています。あとはイヨカンです」

 ―――糖分は体の回復にいい。

 「そうなんですよ。体を休めるために。それから心の栄養だと思って好きなものは我慢せずに食べています!」

 ―――大切にしている言葉は?

 「『他人に勝つ前に己に勝て』という言葉が好きです。(この言葉は)高校の陸上部の顧問の先生が作ったのか、好きな言葉だったのか? 高校のころはその文字がプリントされたTシャツを着て練習していました」

 ―――試合中も思い出す?

 「レース中というよりも、日ごろの練習の中で大切にしています。他人を意識するよりも自分のやるべきことをしっかりやる。勝負をする前に自分のやるべきことをやるのが大事だと思いますので、日ごろからその言葉を胸に練習に取り組んでいます。この精神を胸にロンドンも頑張ります」(インタビュアー・石井重聡、写真・高野一)

プロフィル
大利久美(おおとし・くみ)
 1985年7月生まれ。160センチ、45キロ。埼玉・西武学園文理高校から日本女子体育大学へ。2012年2月、日本選手権20キロ競歩に出場し1時間29分48秒で優勝。日本陸連の基準タイム(1時間29分59秒以内)を満たし、初の五輪代表に内定した。ロンドン五輪で女子20キロ競歩は、8月11日に開催される。

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 ◇ 富士通陸上部HP http://sports.jp.fujitsu.com/trackfield/

■競歩■

◇所定の距離(3000メートルから50キロ程度)をいかに速く歩くかを競う。ルールとして以下の2つがある。
(1)常にどちらかの足が地面についている(これに反すると「ロス・オブ・コンタクト」という反則)
(2)前の足が接地してから垂直の位置になるまで、ひざが伸びてまっすぐである(これに反すると「ベント・二ー」という反則)


◇上記2つのルールを守り、かつ速く歩くために、選手たちは正しい歩形、美しいフォームを追求し日々の練習に励んでいる。なお、コース上には、6〜9人(トラックレース6人・ロードレース9人)の審判員がいて、選手の歩きを確認する。ルール違反のおそれがあると、審判員からパドルというイエローカードが提示される。ルール違反だと警告(レッドカード)が出され、三つで失格となる。

2012年3月22日  読売新聞)

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