『新明解国語辞典』第七版 山田忠雄ほか編
時代に敏感な「読みもの」
【政界】〔不合理と金権とが物を言う〕政治家の社会
ユニークな語釈と「新解さん」という愛称で知られる辞書の魅力は、赤瀬川原平さんらの著書で重々承知していた。だが、辞書を引く必要がある時は、なぜかI書店のK辞苑に頼ってきた。昨年末、7年ぶりに改訂されたのを機に、気になっていた新解さんを初めて机に置いてみた。
序文で〈何ごとによらず、「すごい」「ヤバイ」などで済まそうとする〉風潮に危機感を表明しつつも、今回の第七版は【就活】【真逆】など約1000の新語を収録。【やばい】には〈最近の若者の間では「こんなうまいものは初めて食った。やばいね」などと一種の感動詞のように使われる傾向がある〉とあり、時代に敏感なこの辞書は、引くものではなく読むものなのだと、改めて納得した。
【世の中】【幸福】など今更引こうと思わない言葉の説明も味わい深く、つい読みふけってしまうが、ひとつ問題が。忍び寄る老眼のせいか、目がチカチカしてくるのだ。せっかく新解さんの魅力に目覚めたのに、ヤバくない?(多)
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1972年、三省堂刊。43年刊行の『明解国語辞典』からの累計で2080万部。並版は3000円。
(2012年3月28日 読売新聞)
- 『コリアン世界の旅』 野村進著 (5月11日)
- 『超芸術トマソン』 赤瀬川原平著 (4月25日)
- 『バーボン・ストリート』 沢木耕太郎著 (4月18日)
- 『本当は恐ろしいグリム童話』 桐生操著 (4月13日)
- 『卍(まんじ)』 谷崎潤一郎著 (4月4日)
- 『新明解国語辞典』第七版 山田忠雄ほか編 (3月28日)
- 『日本語の作文技術』 本多勝一著 (3月21日)
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック著 (3月14日)
- 『大名の日本地図』 中嶋繁雄著 (3月7日)
- 『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』 石井好子著 (2月29日)
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