『星の文化史事典』 出雲晶子編著
評・池谷裕二(脳研究者・東京大准教授)
理系男子にありがちだが、私も幼少の頃、宇宙に
科学の進んだ現代でさえ宇宙は神秘だ。古代の人々には天空はどんなふうに映ったのだろう。そんな朴直な疑問に本書は答えてくれる。天文にまつわる世界中の信仰や民俗を紹介する全419ページは珠玉の宝箱だ。
天の川は日本語では「川」だが、英語では乳だ。インドネシアでは蛇、インドでは象の通り道。米先住民では蒸気だったり穀物粉だったりする。
月面の文様も時代や地域によって解釈がちがう。しかし、ウサギがいるという伝承は、遠くインドやメキシコの古代神話にもあるという。
万葉集や枕草子にも登場する「
同時に、
民話や伝説も多く収録され心が踊る。しばらく枕元に置いておこう。いい夢が見られそうだ。(白水社、3800円)
(2012年5月1日 読売新聞)
- 『きなりの雲』 石田千著 (5月7日)
- 『聖地再訪 生駒の神々』 宗教社会学の会編 (5月7日)
- 『言語小説集』 井上ひさし著 (5月7日)
- 『理系の子』 ジュディ・ダットン著 (5月7日)
- 『倭国史の展開と東アジア』 鈴木靖民著、『遣隋使がみた風景』 氣賀澤保規編 (5月7日)
- 『中世教皇史』 ジェフリー・バラクロウ著 (5月7日)
- 『サミュエル・ベケット!』 岡室美奈子・川島健・長島確 編 (5月7日)
- 『東京右半分』 都築響一著 (5月7日)
- 『テキヤ稼業のフォークロア』 厚香苗著 (5月1日)
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