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田知本姉妹がV…柔道GSパリ

70キロ級 妹・遥、女王ドコスに殊勲

 【パリ=下山博之】柔道のグランドスラム・パリ大会最終日は5日、男女7階級が行われた。

 女子では70キロ級の田知本(たちもと)(はるか)(東海大)が、決勝で世界ランク1位のリュシ・ドコス(仏)を旗判定で破って優勝。78キロ超級は、田知本の姉、(めぐみ)(ALSOK)が制し、姉妹そろっての優勝を果たした。今大会の日本勢は、女子が7階級のうち5階級を制したが、男子は優勝者がいなかった。

 女子7階級の世界ランキングで、日本が唯一、トップを逃している70キロ級に頼もしいヒロインが誕生した。21歳の田知本遥が、世界選手権2連覇中の女王を破る殊勲の勝利を挙げた。

 試合前、「五輪選考で大切な大会。持ち味の気持ちの強さを出す」と心に決めた。準決勝では、五輪代表を争う国原頼子(自衛隊)と額をぶつけ合いながらの激闘を一本勝ちで制した。決勝は、前身大会から通して5年連続優勝を目指す、ドコスとの勝負になった。

 全敗している強敵に組み勝ち、2分半過ぎに相手へ指導が出た。その後に指導が出されても攻めの姿勢を貫いて旗判定となり、3人中、2人の審判が田知本を支持。地元スターの敗戦に会場は騒然となったが、試合内容を反映するかのように、観衆からは多くの拍手も起きた。ライバルを従えた表彰台の頂点で、国歌を聴いた田知本は、「今までで一番しっくりくる君が代だった」と感慨に浸った。

 世界ランクは4位だが、初出場した昨年の世界選手権は3回戦敗退。実力不足を痛感したが、「負けて得たものを次に生かす」と地道に積み上げてきた努力が五輪イヤーに花開いた。全日本女子の園田隆二監督も、「一番厳しかった階級に、金メダルの可能性が見えてきた。大きな収穫」と褒めた。

 「ドコス選手に勝ったのは自信になるが、今度は投げて勝ちたい」。伸び盛りの大学3年は、ロンドンの舞台でさらに明確な差をつけて、勝つつもりだ。(下山博之)

姉のプライド

 田知本愛は、姉の威厳と世界ランク1位を守る、価値あるタイトルを手にした。1月の世界マスターズで初戦負けするなど調子を落としていたが、「後がない気持ちで臨んだ」と尻に火がついた今回は、決勝でエレーナ・イワシェンコ(ロシア)と対戦し、攻める姿勢が前面に出た。妹の快挙を目の前で見て、「プレッシャーがかかった。妹には負けたくない気持ちが強いから」。姉としてのプライドがもたらした優勝でもあった。

全日本男子・篠原信一監督

 「最悪の結果。若い選手だから楽しみにしていたが、こんなに差があるのかと実感した。しっかり強化してから連れてくるべきだった」

2012年2月6日  読売新聞)

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