『大名の日本地図』 中嶋繁雄著
江戸時代に見る地方分権
江戸時代に大名はどれだけいたのか。すべてを言える人はほとんどいないだろう。
答えは幕末時点で280家。「歴史読本」編集長も務めた著者がまとめた本書は、都道府県別に幕末の大名を網羅し、その歴史などを紹介する。
やはり気になるのは故郷の大名。私の出身地・大阪は、豊臣家滅亡後は幕府直轄のイメージが強いが、実際は大名が6家もあった。地元の歴史に対する認識不足を思い知らされた。
大名の大多数は1万石から数万石の小藩とはいえ、豊臣秀吉に滅ぼされた戦国大名・後北条氏の
小さくても藩は領内を統治する“政府”であり、それぞれ財政改革や殖産振興などに取り組んでいたことも分かる。それが明治の廃藩置県まで約260年続いた。今のような東京一極集中になってから、150年もたっていない。地方分権を考える上でも大名の歴史は参考になる。(早)
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文春新書2003年刊。13刷6万3000部。940円。
(2012年3月7日 読売新聞)
- 『コリアン世界の旅』 野村進著 (5月11日)
- 『超芸術トマソン』 赤瀬川原平著 (4月25日)
- 『バーボン・ストリート』 沢木耕太郎著 (4月18日)
- 『本当は恐ろしいグリム童話』 桐生操著 (4月13日)
- 『卍(まんじ)』 谷崎潤一郎著 (4月4日)
- 『新明解国語辞典』第七版 山田忠雄ほか編 (3月28日)
- 『日本語の作文技術』 本多勝一著 (3月21日)
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック著 (3月14日)
- 『大名の日本地図』 中嶋繁雄著 (3月7日)
- 『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』 石井好子著 (2月29日)
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