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『大名の日本地図』 中嶋繁雄著

江戸時代に見る地方分権

 江戸時代に大名はどれだけいたのか。すべてを言える人はほとんどいないだろう。

 答えは幕末時点で280家。「歴史読本」編集長も務めた著者がまとめた本書は、都道府県別に幕末の大名を網羅し、その歴史などを紹介する。

 やはり気になるのは故郷の大名。私の出身地・大阪は、豊臣家滅亡後は幕府直轄のイメージが強いが、実際は大名が6家もあった。地元の歴史に対する認識不足を思い知らされた。

 大名の大多数は1万石から数万石の小藩とはいえ、豊臣秀吉に滅ぼされた戦国大名・後北条氏の末裔(まつえい)、大阪・狭山藩や、時代劇で知られる大岡越前が藩主だった愛知・西大平藩など、有名人に連なる家も少なくない。そうした「へぇー」を探してページをめくるのが楽しい。

 小さくても藩は領内を統治する“政府”であり、それぞれ財政改革や殖産振興などに取り組んでいたことも分かる。それが明治の廃藩置県まで約260年続いた。今のような東京一極集中になってから、150年もたっていない。地方分権を考える上でも大名の歴史は参考になる。(早)

 文春新書2003年刊。13刷6万3000部。940円。

2012年3月7日  読売新聞)

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