レスリング男子・フリー66キロ級、米満「銀」で五輪枠
【イスタンブール(トルコ)=大野展誠】レスリングの世界選手権は最終日の18日、男子フリースタイル66キロ級で、昨年の広州アジア大会金メダリストの米満達弘(自衛隊)が、決勝で2009年大会を制したメディ・タガビ・ケルマニ(イラン)に敗れ、銀メダルを獲得した。
今大会で男子が確保したロンドン五輪の出場枠は、フリー66キロ級と、湯元健一(ALSOK)が銅メダルを獲得したフリー60キロ級との2階級だった。
相手の守り 崩し切れず
昨年のアジア大会で勝ったケルマニに決勝で惜敗した。「作戦不足だった」と米満。今回が3度目の対戦。互いに攻め合ったアジア大会と違い、タックルを待ち、カウンターを狙う相手の術中にはまり、第1ピリオドを落としたのが敗因だった。
米満の武器は鋭いタックルだが、相手に完全に守りに入られると崩し切れない。その弱点を改めて自覚させられた25歳は、多彩な技を習得しなければ、世界一になれないことを痛感した。
中学時代は柔道部。高校から始めたレスリングでアジア大会を制し、世界選手権の決勝に進むまで力をつけた。「自分を研究してくる相手を、それ以上に研究していきたい」。世界の頂点を目前にした紙一重の戦いは、きっと心の糧になる。(大野展誠)
◆世界レスリング総括 小原の「金」五輪へ弾み
女子は五輪で実施される4階級のうち3階級で金メダルを獲得した。48キロ級の小原日登美(自衛隊)、55キロ級の吉田沙保里、63キロ級の伊調馨(ともにALSOK)だ。吉田と伊調のスピードと技術の高さは今大会でも屈指で、五輪3連覇への視界は良好と言える。
30歳の小原も五輪の金メダルが見えてきた。栄和人・女子強化委員長は「全盛期の体力はないが、体重調整がうまくいけば、パワーは抜群」とみる。アテネ、北京の両五輪で銀メダルだった階級。今回の優勝で弾みがつきそうだ。五輪階級で唯一、出場枠を確保できなかった浜口京子(ジャパンビバレッジ)は、来春のアジア予選で枠取りに再挑戦する。33歳だが、体力面は充実しており、今後、ポイントを奪う技術をどう磨いていけるか。
男子はグレコローマンとフリースタイルで出場枠を取れなかった12階級で、12月の全日本選手権で優勝した選手がアジア予選に出場する。終盤に疲れた相手からポイントを奪えるように体力強化に取り組んできたが、今大会で海外勢の成長に戸惑う選手もいた。枠取りに向けて、実戦経験も必要になりそうだ。(大野展誠)
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