肌の悩み解消に向けて「敏感肌研究所」発足
敏感肌用スキンケアブランドを持つフランスの製薬会社「ピエール ファーブル社」が、このほど「敏感肌研究所Supported by Avene」を発足させました。
所長には、敏感肌用スキンケア化粧品「アベンヌ」のブランド顧問、皮膚科医ディディエ・ゲレロさん、アドバイザーには東京慈恵会医科大学皮膚科の上出良一教授が就任しました。
同研究所は、敏感肌についての正しい理解の促進や、最新の知見の提供、適切なケア方法の啓発などを通じ、敏感肌の悩みを抱える人たちの生活の質の向上をサポートするのが目的。研究所の調査によると、気候やライフスタイルの変化、ストレスや日々の疲労、睡眠不足や不規則な生活などが原因で、現代人は様々な肌のトラブルに悩まされているそうです。
自分を敏感肌と感じる人が増加する一方で、スキンケア商品を使用しても、4割程度の人がその効果を実感できないというデータも発表されました。
敏感肌は「未病」のうちにきちんとケアを
東京国際フォーラムで第1回シンポジウムが開かれ、上出教授が「アトピー性皮膚炎の最新知見」をテーマに講演しました。その中で、敏感肌は、健康と病気の中間の「未病」という状態と指摘。「肌を日々観察すること、変化を感じたら、その裏にある要因を考えること」で敏感肌かどうかを見つけ、「未病のうちに対処することが大事」と指摘しました。
その後、ゲレロ所長が「アベンヌにおける科学的な温泉水ケア」をテーマに講演、これらを受けたトークセッションでは、日仏比較などが語られました。
上出教授による「アトピー性皮膚炎の最新知見」要旨
人間の皮膚は、外部環境から身体を守り、生体の恒常性を保つ重要な役割を持つ「臓器」です。皮膚機能は外部からの圧力、外傷、温度、湿度、光線、電磁波、大気汚染物質など様々な刺激にさらされるだけでなく、疲労、睡眠不足、栄養障害、疾患、血行など内部要因からも大きく影響を受けています。
これらの刺激から皮膚を守る「バリア機能」として決め手になるのは、皮膚の「水分保持」力です。人間の皮膚は皮脂膜で覆われ、その下にある「角層」が水分保持の働きをします。乾燥肌は、この角層の水分保持力の低下、または、皮脂分泌減少、水分バリア機能低下により引き起こされます。
アトピー性皮膚炎は、これまで「アトピー体質」であることが最大の要因となっていると考えられていました。しかし、「フィラグリン遺伝子の異常」が発見されたことから新しい知見が生まれています。フィラグリン遺伝子は、肌のバリア機能アップ、天然保湿因子(NMF)の形成に寄与しています。この遺伝子に異常があると、皮膚のバリア機能不全を起こし、2歳未満の若年でアトピー性皮膚炎を発症する恐れがあります。「皮膚のバリア機能不全」を早期の「スキンケア」によって改善することにより、アトピー性皮膚炎やそれにつながる、“アレルギーマーチ”(アトピー性皮膚炎から気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎を併発すること)の予防ができる可能性があります。
「敏感肌」は「病気」ではありません。肌の状態に「健康」と「病気」の2極があるとすれば、「敏感肌」は、「健康」と「病気」の中間の「未病」という状態だといえるでしょう。「未病」から「病気」に移行させないために「スキンケア」を行います。もっとも、自分が「敏感肌」かどうかというのは、きわめて主観性の高い問題です。該当する症状としては、肌荒れ、感覚過敏、バリア機能低下、皮膚炎症があります。大切なのは、この「未病」の状態を認識することです。「病気」ではないので、見つけるのは容易ではありません。肌を日々観察すること、変化を感じたら、その裏にある要因を考えることです。「未病」のうちに対処することが大事です。
ゲレロ所長による「アベンヌにおける科学的な温泉水ケア」要旨
南仏にあるアベンヌ・テルマリズム・センターで行っている温泉水ケアについてご紹介します。
基本ケアは、個人バスを使った入浴、シャワー、飲泉。補助ケアとして、患部への湿布、マッサージ、または全身を温泉水のパックで覆う密閉療法も行っています。さらに、自宅でのスキンケアの方法、メディカルメイクの方法も学ぶことができます。肌だけでなく、心身ともにリラックスできるプログラムを準備することで、肌のトラブルの要因になっているストレスを取り除くことも目的としています。
ヨーロッパのアトピー性皮膚炎治療評価によれば、1回のケアで、かゆみ、赤み、不眠などの症状が緩和され、さらに、2回目のケアにおいては、さらに改善されることが実証されています。
温泉水ケアは医薬品による治療とは異なります。一部、こうしたケアを取り入れることにより、医薬品の過度な使用をおさえられる可能性もあり、温泉水ケアは、効果と安全性のバランスがとれたケアだといえるでしょう。
トークセッション「日本とフランスのアトピー性皮膚炎治療アプローチと今後の課題」から
・日本にくらべてフランスの皮膚科診療は、患者さん1人当たりにかける診療時間が長い傾向がある(全国どの皮膚科医でも受診可能な日本と違い、フランスは自分の主治医にかかり、そこから専門医を紹介してもらうシステム)
・日本では、医師の処方箋に医薬品のみが記載されるのに対し、フランスでは医薬品に加えて日々使うスキンケアも処方箋に記載される。症状の緩和後、水分バリア機能の向上が健康な肌作りにとってとても重要。パンフレットなどでスキンケアの方法を指導している。
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