笑顔のポーチ、鹿角ピアス…復興応援グッズ
東日本大震災の被災地の復興に向けた歩みは、まだ始まったばかり。まだまだ、支援の手は必要だが、被災者を応援できる様々なグッズがあるのをご存じだろうか。
デザインが魅力的だったり、被災者の不屈の魂が感じられたりして、かえって勇気づけられる品も多い。
被災地の子どもたち
王様やお姫様などのキャラクターがデザインされたポーチを開くと、中には被災地で暮らす大勢の子どもの笑顔が――。「イストワール」(本社・大阪市)が作った「心をつなぐポーチ」(3150円)だ。
ポーチの刺しゅうは、宮城県石巻市などの仮設住宅に住む被災者の女性が施していて、1個につき500円が彼女たちに支払われる。
中の子どもの写真は、アートディレクター水谷孝次さんが、震災後、福島県いわき市などを何度も訪ねて撮りためた。「子どもの笑顔こそが未来への希望。絶望の中で希望を見いだした人の笑顔が持つ、力強さと美しさを伝えたい」(水谷さん)という思いの通り、ポーチを開くたびに子どもたちの笑顔に励まされる。
生命再生の象徴
被災地ならではの素材や技術を生かしたグッズもある。一般社団法人「つむぎや」(東京都墨田区)が発売元の「OCICA(オシカ)」ブランドのネックレス(2800円)とピアス(5800円)もそのひとつだ。津波で大きな被害を受けた石巻市の漁村に暮らす女性たちが、牡鹿(おしか)半島にすむ鹿の角を磨き上げ、漁の網を補修するカラフルな糸を巻き付けて作っている。ネイティブ・アメリカンのお守りをモチーフにしたスタイリッシュなデザインは、カジュアルな装いにもよく合う。
鹿角は生命再生の象徴とされ、漁網の補修糸には傷をいやす意味合いがあるといい、復興への願いが込められている。商品代金のうち、ネックレスは1000円、ピアスは2200円が作り手に支払われている。
伝統の刺し子
NPO(非営利組織)法人「テラ・ルネッサンス」(京都市)が手がけるのが、東北地方に伝わる「刺し子」という刺しゅうを施した商品の販売だ。その伝統を生かして、岩手県大槌町などで被災した女性たちが、同町の町の鳥のカモメなどをモチーフに商品を作っている。コースター(商品代金700円)なら300円、ふきん(1200円)なら500円が作り手に支払われている。
被災者からは「孫にジュースを買ってあげられて、うれしかった」(70歳代女性)、「作業に集中することで、つらいことを考えずに済む」などの声が上がっている。
著名人モデルの写真集も
シンガポール出身の写真家レスリー・キーさんは、ファッションブランド「アンテプリマ」の支援を受けて、浜崎あゆみさんら著名な歌手やモデルを撮った写真集「カラーズ オブ ホープ」(5250円)を出版した。代金の約半額がNGO「ジョイセフ」(東京都新宿区)を通じて、大震災の被災地に寄付される。
写真は基本的に白黒だが、被写体が持つ「アンテプリマ」のバッグだけが鮮やかな色を帯び、目に飛び込んでくる。「日本に早く希望の色が戻りますように」との思いが込められているという。(経済部 竹内和佳子)
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