ソラマメ色のスープで春今年は冬の寒さがことさら身にしみたせいか、春の訪れがうれしかった。売り場で春野菜に出合うと、いつもの春より心が躍ったのである。 春野菜はどれも生命力にあふれていて魅力的だけれど、ソラマメの姿は特別だ。ぷっくりと膨らんだサヤの形がいい。初々しい緑色がいい。薄緑色した豆の膨らみ具合もいい。まるで子供のほっぺのようだ。 塩ゆでする。サヤのまま焼く。炊き込みご飯にする。サラダに入れる。かき揚げにする。スパゲティの具にする。いためものに加える。どう調理してもソラマメは料理に爽やかなアクセントをつけてくれるので、皿に盛りつけたときの喜びもひとしお。 いやいや、ソラマメの良さは見た目だけではない。ホクホクしたやさしい食感とは対照的なクセのある香りを持つソラマメ。これはただ者のマメではない。 ソラマメはポタージュにしてもおいしい。これまで私はカブとソラマメのポタージュを度々作っていたのだが、先日ジャガイモとソラマメで和風ポタージュ(すり流し汁)を作ったらおいしかったのでお知らせする。 昆布とカツオ節のだし汁にスライスしたジャガイモを入れて軟らかくなるまで煮る。だし汁とジャガイモ、ゆでて皮をむいたソラマメをミキサーにかける。鍋に入れて温め、塩で味付けする。器によそって粉サンショウを振る。完成したのは上品な薄緑色の美しい一品。 ソラマメの独特な香りとサンショウの香りが相乗効果を生んでおいしい。だし汁のおだやかなうま味がジャガイモの生み出すトロリとした食感にとけ込んでいる。カブと一緒に作るポタージュより癒やされる感じの味わいだ。注意深く味わっているとソラマメの微細な粒を舌に感じ、「春からの贈り物」という言葉が頭に浮かんだのである。(イラストレーター、絵も) (2012年4月14日 読売新聞)
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