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今年はクルマの買い時か?

 2月に成立した第4次補正予算に盛り込まれたエコカー補助金。基準を満たせば登録車(軽以外)で10万円、軽自動車で7万円の補助金が交付されるもので、新車にのみ適用されます。

 2009〜10年の最大25万円と比較すれば少ない感じもしますが、それは13年以上使ったクルマを廃車して登録車を新車で購入した場合に交付されるもので、単にエコカーを新車で購入する場合は登録車10万円、軽自動車5万円でした。

 それを考えると、前回と同程度の経済効果が期待できるのでしょうか。

 前回はリーマン・ショックに端を発した世界的な不況の影響で自動車の買い控えが進み、買い替えを先送りした潜在顧客がたくさんいると想定されるタイミングでの政策でした。しかし今回は、前回ほどは潜在顧客がいないとみられています。この点は、販売する側が 売れ行きを楽観視できない理由のひとつです。

 では、この政策をユーザー側から見るとどうでしょう。

 補助金は、廃車などは無関係に、購入する新車がエコカーの基準をクリアしていればもらえる制度です。さらに取得税や重量税が軽減されるエコカー減税も延長が決まっています。

 購入者が得する額は、補助金+減税額。1300ccエンジンを持つハイブリッド車「ホンダ・インサイト」を例にすると、自動車取得税と重量税は免税なので、補助金10万円+取得税8万4000円+重量税2万2500円=20万6500円。これだけ補助金・減税で軽減されるわけです。補助金も減税もない状態と比較すると大きな差になりますね。

 費用は国から出ているので、ディーラーの値引きとは別であることもポイントです。ディーラーの「○○キャンペーン」と合わせれば、さらにクルマを安く購入できるわけですね。

 一方、政府は14年4月からの消費税8%への引き上げ(15年10月に10%)方針を打ち出しています。引き上げ分が3%ということは、200万円のクルマを購入すると、今より消費税を6万円多く納めなければなりません。13年には消費税アップ前の駆け込み需要が起こり、新車の販売も多くなると予想されます。そのため値引きも期待できなくなるかも知れません。

 「補助金効果で販売台数が…」というようなニュースを目にしますが、販売台数うんぬんという話は置いておいて、エコカー補助金は自動車ユーザーにとってお得な施策といえるでしょう。この政策は「新車」購入に適用されるため、昨年よりも多く新車が売れています。すなわち下取りも増えるわけです。下取りが増えれば中古車の在庫も増加し、欲しいクルマにめぐりあいやすいということです。

 今年はいい乗り換えができるのではないでしょうか。

プロフィール

鈴木詳一  すずき・しょういち
 ガリバー自動車研究所所長。福島県いわき市出身。車歴:ホンダ・シビック → 日産・ホーミーバン → いすゞ・ジェミニ → トヨタ・スターレット(レース用) → BMW・325i → BMW・328Ci → BMW・M5。リセールバリューの算出や自動車市場動向の調査・研究に日夜勤しむ。最近はTVや新聞でもコメントする機会が増え、見た目を気にするようになった。遥か昔にレースをやっていた程、根っからのクルマ好き。それ故、ミニバンでも走りの要素がないクルマには魅力を感じない。が、速いばかりがクルマではないとも思っている。普段はおっとりとした性格だが、クルマとガンダムについて語り出したら止まらない。CORISMガリバーfacebookでも執筆中。http://twitter.com/GLV_SHOCHOU
2012年3月8日  読売新聞)
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