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軽トラック そのまま市場…にぎわう商店街

「定期」80か所

歩行者天国になった商店街にたくさんの軽トラが並ぶ(愛知県新城市の「のんほいルロット」で)

 軽トラックの荷台に農作物などを並べて売る「軽トラ市」が人気だ。

 軽トラックで商品を運び、そのまま販売。広場などに様々な軽トラックが集まり、市場の雰囲気を楽しみながら新鮮な野菜などを購入できるのが魅力だ。地域活性化の手段としても注目されている。

 軽トラ市とは、軽トラックの荷台を店舗に見立てた臨時の市場。広場などに集まって開催され、商売をしている人だけでなく、収穫した農産物などを販売する農家の出店も目立つ。

 愛知県新城(しんしろ)市の商店街は、2年前から軽トラ市「のんほいルロット」を開いている。「ねえちょっと」という意味の地元の方言に、南太平洋タヒチで盛んな屋台「ルロット」を組み合わせた。この市に参加できるのは、実行委員会に事前登録した軽トラックか軽乗用車。住民の所有率が高いことに加え、車体が小さく商店街に止めても歩行者に威圧感を与えないからだ。

 市場が開かれるのは毎月第4日曜日、午前9時から午後0時半まで。今月24日には商店街の車道約500メートルを歩行者天国にし、同市に加え、近県などから80台近くが出店した。

 「この地域ならではの品が多彩にそろっています」と実行委員会の加藤久明さん(51)。地元産の茶葉や朝どり野菜のほか、地域の名物「五平餅」を焼く店も目立つ。同市に隣接する浜松市から白焼きのウナギを販売する店舗も出店。飲食物を販売する店舗には実行委員会が営業許可を得ているか事前に確認している。

 商店街近くに住む今泉しづ子さん(83)は「毎回米を買います。おいしい上に、スーパーなどと違い、育てた人から直接買えるのがいい」と話す。

 商店街活性化の効果も大きい。この商店街で衣料品店を営む森一洋さん(54)も「セール品を道沿いに出して並べておくと、お客さんが店に入ってくれる。商店街が息を吹き返してきたようです」と話す。

 平均すると各回約3000人が集まる。「当初は軽トラックを売っていると、お客さんに勘違いされることもあったが、今ではすっかり定着した」と加藤さんは手応えを感じている。

 岩手県雫石町の商店街が活性化を目指して2005年から軽トラ市を始めて注目され、次第に広がってきた。全国の軽トラ市の開催場所や日時などをまとめるホームページ「軽トラ市ネットワーク」(http://www.keitoraichi.net/)を昨年から運営する大沢慎也さんによると、定期的な軽トラ市は北海道から九州まで約80か所で開かれている。広場や駐車場のほか、事前に道路使用許可を取って商店街などの公道で行う催しもある。

 約150台が参加する軽トラ市を毎月開いている宮崎県川南(かわみなみ)町では、市を午前中で終え、午後から町内の湿原など観光名所を巡るバスツアーを実施。「買い物に訪れた人たちに町全体の魅力を知ってもらうのが目的です」と主催者は話す。

 地域おこしに詳しい食環境ジャーナリストの金丸弘美さんは「大型商業施設に奪われた客を取り戻し、自分たちで売る場所を確保しようという取り組みとして興味深い。普段商店街に行かない人に足を向けてもらい、思わぬ魅力を見つけてもらう効果も期待できる」と話している。(崎長敬志)

2012年6月29日  読売新聞)

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