現在位置は です

本文です

みなおす省エネ(2)家庭ゴミ減量で焼却炉節電

「子どもに手伝ってもらい、ゴミを減らしています」と話す服部育代さん(左)。生ゴミは庭に穴を掘り処分している(東京都国分寺市で)

 「電気が止まることにより、清掃センターの機能が停止してしまいます。より一層のゴミ減量にご協力を」。東京都国分寺市の主婦、服部育代さん(39)は3月下旬、こんなチラシを受け取った。

 東京電力福島第一原子力発電所事故で同市は計画停電の対象になり、服部さん方もロウソクで夜を過ごした。実際にゴミ処分に支障が出ることはなかったが、「ゴミ処理には電気が必要で、減量が節電につながると気づきました」と振り返る。

 環境問題に関心がある服部さんは、これまでもゴミ減量を心がけてきた。買い物はエコバッグを持参。野菜くずなどは庭に穴を掘って埋め、落ち葉をかぶせて処分する。小学生の長女と幼稚園児の長男の子育てでは布オムツを使用。ゴミの分別も徹底している。

 昨年比15%の節電が求められるこの夏、同市は節電策の一環として、2基ある焼却炉のうち1基しか運転しない方針を掲げている。昨夏の最大使用電力の2割以上が削減されるという。「もっとできることを探してみたい。紙や包装容器だけでなく、子ども服や古い布も資源回収に出そうと思う」と服部さん。

 環境省によると、国内の家庭ゴミの8割が焼却処分され、重さで見ると、生ゴミが32%、レジ袋などの容器包装が23%を占める。廃棄物やリサイクルに詳しい鳥取環境大教授の田中勝さんは、「生ゴミを減らす工夫、容器包装の分別がゴミ減量のカギ」と話す。発電施設を備える焼却炉もあるが、「その場合も、生ゴミの水分を減らすことが効率的な発電につながる」という。

 生ゴミを減らすのに有効なのが、食品くずなどを微生物が分解し堆肥にするコンポストだ。富山県滑川市の公務員沢井優さん(28)は昨年8月、段ボールや土壌改良材でコンポストを手作りし、使い始めた。同県の「ごみ減量達人コンテスト」に参加したのがきっかけだ。

 妻と1歳の長女の3人暮らし。コンポスト導入後は、生ゴミがほぼゼロになり、分別も徹底した。その結果、以前は週2回の収集のたび出していた可燃ゴミが、2週間に1回のゴミ出しで間に合うように。コンテストで最優秀賞となった沢井さんは、「こんなに減らせるとは思わなかった」と話す。

 さらに、消費や生活のムダを見直すこともゴミの減量になる。廃棄物問題に詳しい石川県立大教授の高月紘さんは「工業製品などの生産には大量の電気を使う。各家庭で必要なものだけを買い、よいものを長く使うことを心がければ、それが企業の姿勢を変え、結果として社会全体の節電にもつながる」と指摘する。

     ◎

 都内で夫と小学生の長男、1歳の次男と暮らす記者も、自宅のゴミ減量に挑戦してみた。ホームセンターで材料を買い、段ボールコンポストを作成。沢井さんに教わった通り野菜くずなどを入れ、1日1回はかき混ぜた。ティッシュの使用量なども減らし、可燃ゴミはコンポスト導入前の6割近くに減った。ただ、服部さんに薦められた布オムツは、洗濯の手間などを考え断念した。

 家庭のゴミ減量は、分別や生ゴミ処理に一手間かけることが大切。家族の協力を得るために、まずは分別について一緒におさらいしてみるとよさそうだ。(内田淑子)

2011年6月29日  読売新聞)


現在位置は です


今週のPICK UP

PR

国内線 空席照会・予約はこちらから ANA
出発空港 到着空港
搭乗日 出発時刻
搭乗クラス