カワイイ「段々」進化

　美少女アニメにカラフルな雑貨、そして子ども用の丸みを帯びた携帯電話……。日本は様々な「カワイイ」であふれている。ファッションもしかり。この夏、流行しているティアードスカートと呼ばれる装いが、その代表格だ。

　「段になった」という意味の英語「ティアード」で形容されたスカートは、丈の長さの異なるスカートを何枚も重ねたようなデザインが特徴。シンプルなタイトスカートと比べ、段々になった生地がヒラヒラとして「カワイイ」。

　実際、銀座や神宮前など東京の繁華街では、レースやシフォンなどの薄い生地を使ったミニ丈のものが目立つ。ふわりとしたシルエットの花柄スカート姿の女性会社員（２１）は「スカートにボリュームがあって、脚をほっそりと見せてくれるのがいい」と話す。ハートマークをプリントしたスカートに黒いレギンスを合わせた女子大学生（２１）は「生地が風に揺れ、軽快な感じがするでしょ」。

　１９８０年代、かわいらしさを競い合ったアイドル歌手がこのティアードスカートをはいて、若い女性に広がった。それが約３０年後に復活。当時はそれにフリルのブラウスなどを合わせて全身をかわいらしくコーディネートしたが、２１世紀の「カワイイ」は違う。

　ティアードスカートに、テーラードジャケットやライダーズジャケットなど、あえて武骨な雰囲気の服を合わせ、組み合わせの妙を楽しむ。ファッションジャーナリストの宮田理江さんも「上品な色っぽさを強調できるのがティアードスカートの魅力」と話す。

　風に生地がなびくティアードスカートを眺めていて、「カワイイ」も時代と共に進化しているような気がした。（生活情報部　岩浅憲史）