待機児童 なお高水準
自治体「認可外保育」補助/校庭などに「分園」
都市部を中心に増え続けていた認可保育所の待機児童数が、4年ぶりに減少に転じた。
各自治体が保育所の整備に取り組んだ成果が大きいが、不況の影響で子どもを預けて働きたい保護者は増えており、保育所不足は依然、深刻な状況だ。
待機児童とは、国の基準を満たす認可保育所に申し込みながら入れず、順番待ちをしている乳幼児。厚生労働省が今月まとめた調査によると、今年4月1日時点の待機児童は全国で2万5556人で、前年同期より719人(2・7%)減った。各地で保育所が整備され、認可保育所の定員が約4万6000人増えた。ただ、待機児童は現在の集計方法となった2001年以降では3番目に多く、高い水準を保っている。
昨年まで2年連続で待機児童数が全国一だった横浜市は971人と、前年より581人も減らし、全国最多を返上した。約85億円の予算を投じ、認可保育所を23か所新設するなどして定員を1712人増やしたのに加え、市が独自に助成する認可外の保育室も増設し、受け入れ人数を600人以上増やした。
ただ、同市の入所申込者は前年より2000人以上増えており、待機児童数を大幅に減らすのに役立ったのは、集計方法の見直しだった。厚労省は、自治体が補助する認可外保育施設に通う子どもを待機児童に含めていないが、同市ではさらに、「育児休業を延長できそうだ」と回答するなどした約300人を待機分から除いたという。
昨年全国2位だった川崎市も今回、待機児童数を225人減らした。認可保育所の定員を1230人増やしたのに加え、同市も集計方法を見直し、一時保育を利用する約70人を除いた。
待機児童の多い大都市では保育所の用地確保が課題で、各自治体は知恵を絞っている。東京都世田谷区は、区立公園や小学校の校庭などに、既存の認可保育所の「分園」を新規に建設。江東区はマンションの空き部屋などを使った認可外保育所を増やし、運営費などを独自に補助している。
待機児童の減少に、東日本大震災が影響した面もあるようだ。都内や神奈川県の一部自治体では、原発事故などの影響を心配した保護者が、職場復帰を延期したり、転居したりして、4月入所をキャンセルするケースが見られた。
一方、今回は地方で待機児童が急増する傾向も見られた。全国で最多となった名古屋市では、不況の影響で共働きを希望する親が増え、500人以上定員を増やしたが追いつかなかったという。
「保育園を考える親の会」の普光院亜紀さんは、「認可外施設に預けながら認可保育所が空くのを待っている人も多く、国や自治体にはさらなる対策を求めたい」と訴える。
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