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どうなる?私たちの年金

厚生年金、パートに拡大…一体改革へ民主報告案

激変緩和が条件

 「社会保障・税一体改革大綱」の具体化に向け、民主党の年金、医療・介護、生活保護の各作業チームは29日、それぞれ報告書案をまとめた。

 年金では、パートやフリーターら短時間労働者に厚生年金の適用を拡大するよう求めたほか、年金の給付額が本来より2・5%高くなっている「特例水準」の解消に取り組む考えを示した。

 報告書案は、政府・与党が年末に策定する大綱のたたき台で、社会保障の安定財源を確保する消費税率10%への引き上げの前提となる施策と位置付けられている。

 報告書案は30日の党厚生労働部門会議に示され、12月中の大綱策定に向けて党内議論が本格化する。党執行部は消費税増税に備え、負担増や給付抑制につながる見直しにさらに踏み込むよう求める可能性もある。

 厚生年金の適用拡大は、将来の低年金者や無年金者を減らす狙いがある。労働時間が「週30時間程度以上」の場合に加入できる現行制度を見直し、「週20時間以上」に広げる方向だ。これにより、約400万人が加入する見込みだ。

 ただ、パートらが多い小売業などでは適用拡大により保険料負担が新たに発生することに慎重論が多く、報告書案もこれらの業界を念頭に「激変緩和措置」を講じるよう求めた。

 「特例水準」は、本来は物価下落に合わせて行う年金給付額の減額を過去に見送ったために生じた。厚生労働省はこれまでの下落分2・5%を2012年度から3年かけて解消し、12年度分については11年の物価下落見込み分(0・2%程度)も加えて1・0%程度減額する案を検討している。

 ただ、大綱をまとめる党「社会保障と税の一体改革調査会」事務局長の長妻昭元厚労相は、記者団に「3〜5年で(解消する)という議論が進んでいる」と述べ、年度当たりの減額幅を縮小させる考えを示した。

 また、60歳以上の働く厚生年金受給者の年金を賃金に応じて減らす在職老齢年金に関し、減額幅を小さくする見直しについては「慎重に検討する」とした。働ける高齢者という特定世代への支援に不公平感があると判断した。

 一方、医療・介護作業チームの報告書案では、12年度診療報酬改定で報酬全体を引き上げるよう求めた。外来患者の医療費の窓口負担に一律100円を上乗せする新制度「受診時定額負担」の導入や、70〜74歳の高齢者医療の窓口負担を現行の1割から本来の2割に戻す見直しは12年度の実施見送りの方向性を明確にした。

2011年11月30日  読売新聞)

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