年金2.6兆円穴埋め、難題…12年度国債か、積立金借用か2011年度分の基礎年金の国庫負担割合を5割に維持する改正国民年金法が7日成立し、次は12年度の財源不足(2・6兆円)をどう埋めるかが焦点となる。政府は、消費税増税分による返済を前提とした「つなぎ国債」の発行で賄う方針だが、増税が決まる前につなぎ国債を発行することには異論もある。消費税論議が不透明さを増す中、年金財源の確保策も見通せない状況だ。(小野田徹史) 基礎年金は、20歳以上60歳未満の国民が加入を義務づけられた公的年金で、原則、40年間加入すると65歳から満額の月約6万6000円がもらえる。財源は加入者の保険料と国費だ。 政府は不況で保険料の不払いが増える中、年金制度の信頼性を高めようと、09年度から国が負担する財源の割合を36・5%から50%に引き上げた。当時は消費税率を上げて財源に充てる予定だった。その後、増税は実現せず、実際は特別会計の積立金などの「埋蔵金」でやり繰りしてきた。 12年度は埋蔵金がほぼ枯渇したため、他の財源を探すしかない。政府は消費税率引き上げに道筋をつけ、実現までの間は国債発行で財源不足を補う考えだ。 ところが、与党内にすら増税反対論が多く、消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革大綱の閣議決定は年明けになる。野田首相は5日、一体改革の素案を年内をめどに取りまとめるよう指示したが、政府内では「閣議決定されない素案を根拠としたつなぎ国債発行を12年度予算案に明記するのは難しい」との声がくすぶる。 一方、消費税で返済を確約する場合も、「将来の税収で返済するのは通常の国債も同じ。つなぎ国債の返済を優先的に扱えば、国債全体の信認が低下する恐れがある」(UBS証券の西川昌宏チーフ財政アナリスト)との指摘がある。 財務省は年金積立金(約120兆円)から借りるという方法も視野に入れるが、厚生労働省は「将来の財源を取り崩すと制度そのものが揺らぐ」(年金局)と反発する。年末の予算案決定まで調整は難航しそうだ。 (2011年12月8日 読売新聞)
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