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縁故採用、実態は?

質問

 岩波書店の縁故採用宣言が話題を呼んでいるようですが、どこの企業も縁故採用をしていると聞きました。コネのない私は不安になってしまいますが、実態はどのようなものなのでしょうか。(大学3年女子)

回答

 企業によって様々も、気にせず実力発揮を


 老舗出版社の岩波書店が2013年度の定期採用で、応募資格の条件として、「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」とホームページで告知しました。このことが「縁故採用宣言」としてマスコミで報道され、話題となっているようですね。

 読売新聞には、「あまり聞いたことはない。採用の自由はあるが、厚労省としては基本的に広く門戸を開き、応募者の適性、能力に応じた採用選考をお願いしている」という厚生労働省就労支援室のコメントが載っていました。

 まず、コネ採用の実態ですが、これは様々です。

 取引先関係者などの子弟を積極的に採用している企業も実際にはありますし、逆にコネを極力、排除している会社もあります。中には、社員の子弟が受験することを禁じている会社もあります。こうなると、今度は社員の子弟の職業選択の自由をどう考えるかと言う難しい問題に直面します。

 企業には採用選考の際に、配慮すべきことがあって、学生の能力や適性とは関係のないことがら、例えば思想信条とか、出生地とか、家庭環境などによって、学生を選別してはいけないことになっています。

 その一方で企業には、学生の持つ能力を自由に判断して採用の適否を決める権利もまた、憲法で保証されています。

 では、コネはどうなるかというと、これはなかなか微妙です。例えば、父親が有力取引先の役員であるというようなケースなら、それは学生の家庭環境ですし、本人の能力とは無縁のものだから、問題があるともいえるでしょう。

 その一方で、企業はその学生を入社させることによって、取引先との関係を良好に保てると期待しているわけで、そう考えると、コネは学生の能力の一部ととらえることもできます。

 岩波書店のケースでは、「採用されたければ、自分で努力して、何とか社員や著者と接触し、その上で紹介状をもらって欲しい」ということですから、学生の努力の範囲を超えて採用しようというコネ採用とは多少違う気がします。本人の努力によって打開できるハードルを課すこと(たとえそれが、極めて高いハードルであっても)は、自由な選考といえるからです。

 いずれにしても、コネ採用を行っている会社も、そのことを公にすることはまずありません。ですから、そういったことはあまり気にせず、自分の力を発揮するしかない、というのが僕からのアドバイスです。

 ちなみに読売新聞はコネによる採用をまったく行っていません。コネをたまたま持っている学生をあえて排除することもありませんが、コネそのものを評価の対象にしていないということです。


 回答者 原田康久
 読売新聞人事部次長(採用担当デスク)。エントリーシートの達人。

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原田 康久【著】
中央公論新社 (2011年8月 出版)
211p
ISBN: 9784120042713
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2012年2月8日  読売新聞)
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