代々木ゼミナール入試情報センター
本部長 坂口幸世
「100年に1度」の先入主
「100年に1度」あるいは「未曾有」、そして「危機」という言葉が飛び交う今回の景気後退は、それだけにこの「危機」の影響を受けない分野などないという先入主に捕らえられたのでしょうか、人々はあらゆるところに「経済危機」の影の現出を見ようとしているようです。
たしかに“「経済危機」→節約”の図式はわかり易いでしょう。そしてそうした眼で見れば今年の入試に関して「経済危機」の影響を見つけることはた易いことです。しかし、受験生やその保護者は、無制限に好きなだけ受験するということは今までもしてこなかったはずです。難易度、入試科目・方式、入試日程、そして大学そのものの「価値」に関わるさまざまな選択要素を総合的に判断して、受けたい受験校候補から実際に受ける受験校へと「絞り込み」をしてきたのです。その「絞り込み」作業をもって「節約」とみるかどうかです。
よく考えれば分かることですが、「オイシイものを食べる」とか「旅行に行く」という消費行動と受験というものを同日に論ずるのには無理があるでしょう。それでも「できれば安くあげたい」あるいは「回収を確実にしたい」という経済性重視の心理が働くのは当然であるし、そして今回の2009年入試ではそれが特に強かったのかもしれないとも想像できます。そこで2009年入試では受験生はどのような受験行動をとったか、出願者数のデータから読み取りたいと思います。 |