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『空色の凧』 シヴォーン・パーキンソン・著

大寺史恩(おおでらしおん) ヨミウリ・ジュニア プレス記者 高1

少年に注がれた人々の愛

 アイルランドの架空(かくう)の町、バルナマラで、個性が強く、少しピント(はず)れなところもある少年ハルが、父の死と向き合い、母の再婚(さいこん)相手アレクを新しい家族としてどう受け入れるかを(えが)いた物語です。

 印象に残ったのは、ハルとアレクを残して母が突然(とつぜん)姿(すがた)を消したため、ハルが親友の少女オリビアに支えられながら、母を(さが)すことになった“事件(じけん)”の結末(けつまつ)です。周りの人々がハルに注ぐ愛の形はどれも素晴(すば)らしく、読んでいて心が温まりました。

 その後、ハルはオリビアといっしょに海辺へ行き、一生懸命(いっしょうけんめい)作った(たこ)を真っ青な空に()げて、糸も放します。その光景(こうけい)や、天国の父を思い、新しい父へのわだかまりから()き放たれた(かれ)の気持ちが、臨場感(りんじょうかん)をもって伝わってきました。(渋谷弘子(しぶやひろこ)(やく)、さ・え・ら書房(しょぼう)、1500円)

2012年2月7日  読売新聞)

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