天然100%の温泉泥でぷるぷる美肌
別府八湯ファンゴティカの泥エステ
三寒四温の今日このごろ、体調管理には一苦労の季節。前回に続いて、温泉のお話です。
大分県・別府温泉に出掛ける機会があって、「別府八湯ファンゴティカ」という泥エステを体験してきました。
別府には、様々な泉質の温泉がありますが、その温泉とともに湧き出ている天然100%の温泉泥を使うのだそうです。「ファンゴティカ」というのは、イタリア語で、泥を意味する「ファンゴ」と美学を意味する「エステティカ」の造語なのだとか。
当地では、12種類、8色の温泉泥が採取できるそうで、そのうち肌に効果があるとされる4色が選ばれています。
エステを受けたのは、別府・鉄輪(かんなわ)温泉の「ホテル風月HAMMOND」です。
夕刻少し早い時間に到着したので、まずは、別府湾を一望できる露天風呂で、からだを温めることにしました。
前回ご紹介した温泉ビューティ研究家の石井宏子さんの教えの通り、脱衣所に掲げられた温泉分析表を最初にチェック。泉質はナトリウム塩化物泉でした。主成分が塩分なので、なめてみると、ちょっとしょっぱい。塩の成分が付着して、薄いベールのように肌を包んでくれるそうです。そのベールが保護膜になるので、湯船からホカホカ感が持続します。
エステを受けるため、別棟の「フェリア」に移動。カウンセリングシートに、健康状態や気になる点を記入します。やはり期待するのは、ぷるぷる美肌とスリミング効果?でしょうか。
最初にもう一度、お姫様気分でバスタブの温泉につかりました。もう、からだの芯からぽっかぽかです。老廃物を除去するといわれるローズマリーと鎮静効果のあるラベンダーのアロマを使って、リンパを流すハンドマッサージが続きます。
いよいよ泥パックの出番。施術箇所は、背中と脚、それから顔を選びました。
「初めてですから、一番オーソドックスなタイプのオリーブイエローにしましょう」と、担当エステティシャンさんが泥の色を選んでくれました。粉状のファンゴティカに少しずつ温泉を加えて練りながらパック剤を作っていきます。
ちなみに、泥の色で、ホワイトはピーリング効果が強く、ブラウンは酸が少々強め、ローズは保湿効果に富む、といった分類ができるようです。前々回の小欄で触れたイスラエルの死海では、真っ黒な泥でした。一口に美容に用いる泥といっても、多彩なのです。
まずは背中から。じんわり温かさが背中から深部に伝わっていく感じが心地よく、いつの間にかぐっすり眠ってしまいました。
温泉泥は多孔質で、結晶構造の間に各種のイオンや有機物を保持しています。「スポンジのように、内部の汚れを吸い取る効果があるんですよ」と教えられました。それに温泉の温熱効果が加わってエネルギー消費の持続時間も長くなるわけで、ダイエット効果も期待できますね。
続けて、顔のトリートメントに。泡立ちのやさしい石鹸でふんわり包むようにしてクレンジング。
「ゴマージュが必要ないくらい、肌のキメは細かいです」と言われて、ちょっとうれしくなりました。「でも、皮膚が薄いですねえ。メイク落としの時、あまりゴシゴシ洗ったり拭き取ったりせずに、手で優しく包むようにして洗ってください」とアドバイスが加わりました。
薄いガーゼで保護した上に泥パックを塗布します。実際にパックしているところを、エステティシャンさんに写真を撮っていただいたのですが、ちょっと怖い絵になってしまいました。
パック後は低周波の美顔器を使ってディープクレンジングをし、化粧水はたっぷり、乳液でしっかりシールドです。締めくくりは、シャワーで泥を洗い流して、再び温泉のバスタブヘ。たっぷり2時間。心地よいけだるさが、からだ全体に……。もう一眠りしたい気分でした。
温泉泥は癒やし効果も抜群
施術が終わって、ファンゴティカの仕掛け人の一人、ホテルHAMMOND社長の甲斐賢一さんに、泥エステが誕生した経緯などを伺いました。
別府は古くから、傷病兵の治療の際に温泉泥を使用してきたという歴史があるそうです。
「きっかけは、世界10か国の温泉地と交流する国際交流事業でした。海外の方から、『こんなに豊かな資源があるのに、日本人はなぜ温泉を入浴だけにしか利用しないのか』と、素朴な疑問を投げかけられました。10年ほど前から、大分大学や広島大学の協力を得て、産官学連携で研究開発をスタート、ファンゴ療法先進地であるイタリア・ベネト州から専門家を招いて、別府独特の温泉泥の使用法の指導も受けました」
大分大学医学部の温泉泥の皮膚に及ぼす影響調査では、温泉泥塗布直後で、皮膚粘弾性と角質水分量に変化が見られ、温泉泥が皮膚に「張り」を与えることが示されています。
興味深いのは、やはり同大学の調査で、泥エステ施術前と施術1週間後の癒やし効果の測定です。それによると、「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「怒り・敵意」「疲労」「混乱」のいずれの項目でも低下傾向がみられ、「活気」は上昇との結果が出ているのです。
確かに、私の場合も、施術直後はけだるさを感じましたが、翌朝の目覚めは爽快で、朝ごはんもおいしくいただけました。みぞれが降る寒い朝でしたが、活力がみなぎって、早朝から動き回りたい気分になったことを思い出します。
温泉泥の源泉の一つにも足を運んでみることにしました。以前から訪れたかった、鉄輪温泉・坊主地獄の隣にある鉱泥温泉へ。ここは午前中しか入れません。午後から湯船の掃除をするからだそうです。外観は湯浴み小屋といった風情ですが、中はものすごくきれいです。
オープン時間から10分くらいしかたっていないのに、地元のおばあちゃまたちでいっぱいです。つかまり棒につかまってゆっくり入る、なるべく動かない、5分くらいで上がって休む、その時に泥は流さない、など泥温泉の作法をいろいろと教えてくれました。
見た目は灰褐色ですが、泥は思ったよりもさらさらしていて、肌にべたっとまとわりつく不快感はありません。時々、底に堆積した泥をかき混ぜに来てくれます。湯の温度は43度くらいと聞きましたが、泥状になっているせいか、熱を感じにくく、熱いのが苦手な私でも十分に楽しめました。
それにしても、一緒に入っていたおばあちゃまたちは80歳前後と伺いましたが、背中から水滴がはじけていました。お肌もツルピカです。温泉泥効果恐るべし……ですね。
※次回の掲載は3月25日です。
プロフィール
永峰好美(ながみね・よしみ)1979年読売新聞社入社。編集局生活情報部、解説部などで取材 にあたり、2005年5月より東京・銀座の百貨店、プランタン銀座取締役。記者時代はメイクも落とさずベッドに直行することが多く、お肌もボディもぼろぼろに。今は、貪欲に様々なビューティー情報にアンテナを張り巡らせています。「新おとな総研」では、銀座に関する話題をつづった「GINZA通信」を連載中。
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