シャプティエはすごかった エルミタージュ・パヴィヨン942月4日(自宅で)再びエルミタージュに挑む。 シャーヴに感動したので、勢いづいてシャプティエのエルミタージュも開けた。エルミタージュ赤ワインには、レルミット、ル・メアル、レ・グレフューなどいくつかのキュヴェがあるが、今回はル・パヴィヨン。 メゾンで同時に購入したコート・ロティ・ラ・モルドレはブショネだったが、こちらは健全だった。1週間前にシャーヴを飲んだばかりなので、造り手によるスタイルの違いがよくわかった。 抽出がやや強い。樽もやや強い。色合いも濃く、アルコール度も高い。だが、いずれも本質的な違いではない。単体で飲んだら、気にならない。香りはシャーヴ以上にピノ・ノワール的。カシスやブラックベリーのジャム、岩を砕いたようなミネラル感、中間の太さと重心の低さに圧倒される。 だが、無理にひねり出した感じはない。フリーランを思わせるピュアな感触と、雄大なスケールの広がりがある。ビオディナミゆえ。低い収量と古樹による部分もあるだろう。強さより優雅さ、濃厚さより繊細さ。素晴らしいバランス感に彩られている。 時間がたつと、甘酸っぱい梅ジャムのような香味に発展した。タンニンはなめらかに溶け込んでいて、全く気にならない。ようやく開き始めたところだが、あと10年や20年はきれいに熟成するだけの骨格と酸と果実を備えている。 フィロキセラ以前のブドウ樹が生きているというパヴィヨンの区画。600ケース程度しか生産されない。区画の違いを語れるほどエルミタージュを飲んでいないが、このワインがシラーという品種の可能性、エルミタージュというアペラシヨンの卓越さを物語っていることだけはわかる。 ローヌのワインはくどい煮込み料理やしつこい肉と食べるものというイメージがある。大間違いである。このワインは、それだけで完成された美しさを持っている。単体で味わうべきワインだ。あるいは、地元のチーズでシンプルに。 エルミタージュ。英米の通販サイトを調べたが、コート・ロティよりはるかに販売数が少ない。過小評価されているのだろうか。こんなワインにまた会いたい。 M.シャプティエ エルミタージュ・ル・パヴィヨン 一生に1度は飲みたい度 97点 購入先:メゾンで (2012年2月10日 読売新聞)
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