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「自分のカラダと向き合う方法教えます。」(3)

女性の将来の不安で気になる関節のお話

 ここまで女性の運動器の特徴と、運動の基本である正しい姿勢の取り方について紹介しましたが、いよいよ「関節」の大切さについてお話しましょう。

 女性はそもそも体における関節の面積が小さいためにその分負荷がかかりやすく、さらに更年期になると女性ホルモンの減少を受けて骨・軟骨が老化し、弾力性や水分が減少、関節に支障をきたすことが多いのです。女性が長寿になることで人生が豊かになる良い可能性もいろいろ増えますが、一方で運動器に起こる問題についてまず知って理解していただき将来に向けて今から体づくりをしていただきたいと思います。

 関節は骨と骨のつなぎめで体の中に100以上あり、形状や大きさも少しずつ異なりますが、私たちの柔軟な動きを生み出し、安定させるという役割を担っています。関節の表面や骨と骨の間を覆うように白く半透明な軟骨がありクッションの役目を果たしています。その関節を覆うように袋があり、その中には軟骨の栄養分を含んだ粘りのある関節液が入っていて、関節を動かすことで、液が圧力をかけて軟骨に養分がいきわたるようになっています。

 更年期では関節液内のヒアルロン酸を代表とする栄養分が減少したり、軟骨を構成するコラーゲンやプロテオグリカン(ヒアルロン酸やグルコサミンなどが集合したもの)の質が低下するため、軟骨が摩耗し、変性を起こして痛みや関節炎という症状につながります。医療機関でよく行われる関節への注射は、減少したヒアルロン酸を補充するもので、これは関節の動きを改善したり、炎症を鎮めたり、さらには軟骨の変性を抑える効果が期待できます。潤滑油をさすようなものですね。

 膝や手の指の関節痛はとても多い症状ですが、実は関節の変形は骨ではなく軟骨が傷むことから始まります。軟骨細胞はカラダの成長がとまると細胞分裂が止まるため、新しい細胞を生み出せなくなります。軟骨は私たちのカラダのなかで最も早くから老化する組織で、それを予防する具体策は適正な体重管理と、体を支える筋力をつけ、軟骨の負担をできるだけ軽くしてあげることです。

 また軟骨を構成する成分のサプリメントもたくさんありますが、科学的な証明や研究が必要なものも多く見受けられます。専門的な話しですが、今後、いろいろな研究が進んでいくのが「軟骨」とも言えます。

 関節のしくみはおわかりいただけましたか。関節はいろいろな組織の複合体で、しっかり安定して動くことが大事で、それを支えるためにじん帯や筋肉があります。じん帯を傷つけないようにするために、筋肉が必要であり、さらに関節の可動域がしっかりあることが大切です。それが正しい姿勢と、自分の体をコントロールする力につながります。

 関節の可動域を拡大し、柔軟性のある筋肉やそれらを覆う筋膜や腱の健康な状態を保つために、ストレッチは効果的です。筋の緊張がとれると、血行も良くなり、疲労回復にもつながります。

 いずれにしても関節は、体重を支えて負荷が大きいわけですし、痛みや支障が出てからでなく、自分のカラダの特徴などを知って、日常のちょっとしたトレーニングで運動器を大事にし、なるべく長く健康な生活ができるようにそれぞれで準備したいものです。

プロフィール


大井律子(おおい・りつこ) 整形外科専門医 医学博士
高知医科大学卒業後、山口大学整形外科学教室へ入局。
医局関連病院での臨床経験を経て、2006年から女性医療に関わるようになる。2007年からウィミンズ・ウエルネス銀座クリニックで整形外科の外来を開始。運動器を診る専門家の立場から女性のカラダと心のケアを行っている。今年5月にオープンしたウィミンズ・ウェルネス銀座健康院ジュノでは、運動器に関する医療のプロとスポーツトレーナーとの新たなコラボレーションによるパーソナルトレーニングをスタートした。

◆女性医療ネットワーク http://www.cnet.gr.jp/

女性の体と心の健康と幸福に貢献する統合医療をめざすNPOです。メンバーが交代でコラムを執筆します。
2010年10月7日  読売新聞)

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