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年金の加算制度 どんな内容

 収入が少ないお年寄りに年金を加算する制度ができるとか。どんな内容?

底上げで低収入の人救済

 政府が6日にまとめた社会保障・税一体改革素案で、収入の少ない高齢者の年金に加算する制度の創設が打ち出された。消費税率の引き上げ年度から実施する方針。同時に、受給に必要な加入期間も今の25年から10年に短縮する。

 日本では20歳以上60歳未満の全員が公的年金に加入し、老後に基礎年金を受け取る「国民皆年金」が基本。会社員は厚生年金も受給できる。

作図 デザイン課 伊藤僚佑太

 基礎年金は40年加入で月6・6万円。だが、保険料を納めなかったり、低所得のために免除された期間があると減額されるため、実際の平均受給額は月5・5万円にとどまる。特に女性は低額の人が目立つ。年金が少なくて生活保護に頼らざるを得ないケースも多い。このため、年金額の底上げが課題となってきた。

 加算対象は、年金も含めた収入が年間84万円(月収7万円)までの人とする方向。加算額は、年収65万円(月収5・4万円)未満の人には一律で月1・6万円、65万円以上の人は段階的に縮小する案が検討されている。年収65万円から84万円までの人は、加算分と収入の合計が月7万円になるイメージだ。

 ただ、単純な加算には、多くの問題点が指摘されている。

 現役時代に収入があったにもかかわらず、わざと保険料を払わなかった人にも加算されれば、まじめに払う人が減る恐れがある。収入が基礎年金だけの人の場合、40年間きちんと払い続けた人も、32年余りで納付をやめた人も、加算を含めた年金額は月7万円。これでは、32年以上払う意味がない。「未納者は除外すべき」との声も多い。

 また、対象者は年金などの収入だけで決まるので、多額の預貯金があっても収入が少なければ、加算を受けられる。生活実態と合わず、不公平感がある。さらに、あくまで年金への加算なので対象は受給者だけ。より生活が苦しい無年金者は救済されない。

 年金は、払った保険料に応じた給付が原則だ。単に生活保護の一部を年金に移す仕組みでは、かえって信頼感を損なう。慎重な制度設計が求められる。(林真奈美)

2012年1月17日  読売新聞)

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