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「大切な人への手紙」第5回入選作発表

 発言小町の本「お母さんに手紙をください」の出版記年企画「大切な人への手紙」コンクールの第5回入賞作を発表します。

 ⇒優秀賞は「私の大切な上司へ」パンダくんの奥サマ

「スヤスヤと寝ている我が子へ」ママゴン

 君の寝顔を見ると、ママは、たまらなく安心します。

 君が生まれる直前の、お医者さまの「赤ちゃんの命が危ない」という声は、まだ、ママの記憶から離れてくれません。でも、無事生まれてくれてありがとう。翌日から君は、大きな病院に入院になりました。ママは緊急手術だったので、すぐに起き上がる事ができませんでした。無理言って、君の入院してる病院に連れて行ってもらいました。赤ちゃん達が入院してる病棟。小さなベット、大きな装置。壁の張り紙に「他の入院患者について質問しない事」とありました。沢山のママ達もいました。小さなケースの中に、君が寝てました。小さな体に沢山、管を付けてました。でも、スヤスヤ寝てて、ママは涙が溢れました。

 君が退院出来ると、先生に言われた日、初めて、隣のベットに入院してる赤ちゃんのママが声をかけてくれました。「おめでとう」って。普段は、挨拶しかしてなかったのだけど「娘は、もう長い間、入院してるんです。生後、心臓の手術をしてね。でも、いつか退院できる日を目標に、毎日母娘で頑張ってます」と、明るく微笑んでくれました。また、ママは、涙が溢れちゃった。元気であるってことは、本当に大事な事だと思いました。君も、救っていただいた命、大事にしてください。

◇ ◇ ◇

「親父へ」山と

 あなたは、あなたの父親が小学校の時に過労のため、他界してからというもの、長男として、家業のクリーニング店を継ぎ、働きづめでしたね。父親代わりに、弟や妹を育て、なおかつ私たち4人の子供をみんな大学まで行かせてくれました。自分が尋常小学校しか出ていないからと、私たちには不憫な思いはさせたくないという親心からか、学業を続けさせてくれました。そのために、実によく働きましたね。高度成長期の波にのり、会社も順調で一時は40人以上の会社に成長しました。

 私はこの幸せな時期がいつまでも続くものと思っていました。それがある日突然、近所からのもらい火を受け、会社が燃え、保険ではまかない切れない損害を受けました。あなたはそのショックから脳梗塞になり二度と働けなくなりました。2代目の私は大学卒業後、後を継ぎ、社長として働いていましたが、この頃は不景気も重なり、働いても働いても、借金は増えるばかりでした。結局、会社は持ちこたえきれず、あなたが苦労して築いた会社は廃業するに至りました。もうその頃は、あなたは寝たきりの状態で会社の状態がどうなっているのか、理解できませんでしたね。でも、たまに意識がしっかりした時は呂律が回らない口調ながら「会社はどうなってる」と聞いてきましたね。その度に、私は「大丈夫だよ。順調だよ」と答えていました。それを聞いて、あなたは涙を流して喜んでいました。私の胸はどれほど痛んだことでしょう。

 あなたが亡くなり、はや2年。今でも申し訳ないという気持ちで一杯です。天国でさぞかし悲しんでいることでしょう。でも、やさしかったあなたのこと、「しょうがないな〜」と大目に見てくれているかもしれません。「お前らが元気ならいい」と。

 「親父ごめんね。せめては恥ずかしくない生き方をして、許してもらえるように努力します。」と毎日仏前に手を合わせ、語りかけています。

◇ ◇ ◇

「大好きな一郎さんへ」青い鳥

 一郎さん、いつも一緒にいてくれて、ありがとう。

 一郎さんと出会えたことが、神様が私にくれた最高の贈り物です。もう一生結婚することはないかな?って思い始めた36歳。|パソコン通信で知り合った一郎さんは、私より3歳年下。でも、私よりずっとしっかり者。

 NHKの大河ドラマ「功名が辻」を見ていた頃、千代になったつもりで、一郎さんを「殿」と呼び、自分を「姫」と呼ぶようになって何年になるでしょうか。今でも「殿〜」と呼べば、「ん?」って振り向いてくれる一郎さん。「ただ呼んだだけ〜」と言えば、鼻ムニュされる楽しい毎日です。

 私のせいで、一郎さんを父親にしてあげられなくてごめんなさい。お互い、生まれ変わっても、また一緒になろうね。そのときは、必ず一郎さんを父親にするから。もし、一つだけ願いを叶えてくれるとするなら、一郎さんと同時に天国に行きたいです。それが叶わなくても、私は1日でも、いいえ1秒でも一郎さんより長く生きて、決して一郎さんを一人にしないように頑張って生きていきます。

 一郎さん、これからもよろしくお願いします。

◇ ◇ ◇

「ひかるへ」希望(広島県広島市)

 「5月は風香ると言われるよね、4月は風光るって言うらしいよ……。おめでとう」。4月に産まれた、小さなひかるを初めて抱いたじいじが、そっと私に言った。

 家族、友人からもらった15個の安産祈願のお守りを握り締め出産に挑んだ。産まれてくる命を、みんなが望んで待ち焦がれた。産声を聞いたとき、私はこの子に会うために生まれてきたのではないかと思った。こんなに愛おしい気持ちがあることを初めて知った。ただただ、生まれてきてくれてありがとう。

 愛されて生まれてきたのだと、知っていて欲しい。つらいことや悲しいこと、立ち直れないと蹲る日、失恋して心が張り裂けそうなとき、自らまた歩き出せるよう、母である私が、今、あなたにたくさんの愛情を注ぎたい。

 ひかる、あなたに会えてよかった。生まれてきてくれて、ありがとう。

◇ ◇ ◇

「僕の“かあちゃん”(妻)へ」にいに

 かあちゃん。結婚するとき、子供ができたら“とうちゃん、かあちゃん”と呼び合おうと決め、約束どおり二人の間ではそう呼び合ってきたね。それは昔の野球漫画の主人公をイメージしてのことで、でも実際には子供たちは普通にお父さん、お母さんと呼ぶようになったけど。

 その子供たちも、既に成人している長男に続き、二男も今年20歳になり、そろって大人になるんだね。これまで本当にありがとう。仕事しか能がない僕との子供でもなんとか立派に育ってくれたのは全部かあちゃんのお陰です。

 今までいろんなことをかあちゃんは我慢してきたと思うけど、かあちゃんのお陰で、育っていく子供たちと一緒の暮らしはとても楽しかった。

 でね、子供たちが成人したんだから、“かあちゃん”そして“とうちゃん”は卒業しましょう。これから、どう呼ぼうかな。そうだ、昔のように“Kikuしゃん”と呼んでもいい? ちょっと照れくさい気もするけど、貴女を想う気持ちは、あの頃のままなんだから、やっぱりそれでいいよね。これからもずっと、そう呼ぶよ。

 大好きなKikuしゃんへ。

 ⇒「大切な人への手紙」第5回優秀賞決定へ

2011年9月22日  読売新聞)

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