マダイ切り身は洋風に前回、マダイをさばいて「かぶと蒸し」にしたという話を書いた。あれだけでは、「肝心の切り身はどうしちゃったのよ」とご不満な読者の方がおいでかもしれないので、今回は身の部分がどうなったかについて書く。 かぶと蒸しに舌鼓を打った翌日、夫は塩焼きにしようと言ったのだが、私は和風味のマダイが3日も続くなんてイヤだと考えていた。夫の言葉を聴くふりをして、タイプのちがう料理はなんだろうと頭をクルクル働かせ、思い当たったのはポワレ。 言葉だけだと難しそうに思えるが、なんのことはない、フライパンで蒸し焼きにするフランス料理の調理法のことだ。皮をパリッと焼いて、レモンバターソースをかけたらおいしいのではないか。付け合わせにはゆでたポテトとニンジン。いい感じだ。 ポテトとニンジンをゆでる。3枚におろしたマダイに塩、コショウする。フライパンにオリーブオイル(大さじ2)と半分に切ったニンニクを熱し、マダイの皮目から弱火で焼く。皮がパリッと焼けたら裏返してフタをし、火が通るまで弱火にかける。皿にマダイとポテト、ニンジン、ニンニクをのせ、パセリを飾る。 フライパンに残っているオリーブオイルにバター(大さじ3)を加えて溶かし、レモンをしぼってレモンバターソースを作る。皿の上からソースを回しかける。 かぐわしいソースに包まれたマダイの皮はパリッと、身はふんわりと、2日続いたマダイのおいしさとはちがう西洋の味である。ポテトとニンジンとソースの相性もいい。和風のマダイよりもさわやかなおいしさだ。塩焼きのことを忘れたかのように、夫も満足そうに食べていた。 残りの中骨は中華がゆのダシにした。マダイを1匹食べ尽くし、私は達成感に浸ったのである。(イラストレーター、絵も) (2012年2月4日 読売新聞)
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