Q.災害で損害 所得税を軽減
確定申告で雑損控除
地震や水害といった自然災害で住宅などに損害を受けた場合、一定の条件で所得税を軽減するのが雑損控除という制度です。確定申告すれば所得から控除され、納めた所得税が還付される場合があります。東日本大震災では特別措置も設けられています。
茨城県つくば市の主婦(53)は会社員の夫の確定申告の相談のため2月、地元税務署の個別相談会を訪れ、税理士に雑損控除を計算してもらった。東日本大震災の揺れで自宅の屋根が壊れ、修理に72万円かかったが、所得税のうち12万円ほどが還付されるという。税務署の広報担当者は「被害件数に比べ、相談にくる人はまだ少ない。制度を知ってほしい」と話す。
損害の原因となる自然災害は地震のほか、風水害や雪害なども含まれる。浸水被害からの原状回復や、家屋倒壊防止のための雪下ろし費用なども対象。東京税理士会の福本光男さんは「対象は自然災害、火災、白アリなどの害虫被害、盗難と幅広い」と説明する。
損害は、住宅や家財など生活に必要な資産が対象で、家具や家電、衣類などを含む。車は、生活に必要と認められる場合対象に。一方、別荘や、高額の
雑損控除の条件は2通りある=表(1)=。二つのうち額の多い方を選び、その分が控除額になる。つくば市の夫婦は、《2》の方が多く、72万円から5万円引いた67万円が雑損控除額になった。実際の還付額は所得税率などを基に計算する。
「損害額」は、購入価格に、使用年数による価値の目減り分や被害程度を反映させた額。国税庁は、東日本大震災による住宅などの損害額を計算する方法をホームページで示している。「災害関連支出額」は、屋根の修理や損害を受けた家財の撤去費用など。申告には領収書を添付する。
損害額は地震保険などで穴埋めされた分を差し引くので、穴埋め分が大きいと対象外になる場合がある。ただ、2007年以降の災害で支給された被災者生活再建支援金は損害額から差し引かなくてよい。
東日本大震災では特別措置がある。災害関連支出は通常1年以内だが3年以内のものまで対象になる。また、損害額が大きいため1年間の所得額から控除しきれない場合、通常最長3年間繰り越せるが、大震災の場合5年繰り越せる。
さらに、災害による損害の場合、災害減免法による所得税の軽減もある=表(2)=。雑損控除と災害減免法のどちらかを選択できる。
災害減免法は住宅・家財の損害が時価の2分の1以上の場合なので、被害が甚大な人向けだ。所得金額が1000万円以下の人が対象。「雑損控除と災害減免法はどちらが得か被害や所得にもよる。税理士に相談してほしい」と福本さん。
所得税の確定申告は、2月16日から3月15日までで、還付のみの申告は始まっている。税務署や各地の税理士会で無料相談会が開かれており活用したい。
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